超資本主義
結婚後30年近く経ってから離婚された女性からの依頼でした。
離婚の原因は、ご主人のギャンブルなどの浪費癖のようです。10年ぐらい前にも一度それが原因で借金を作って一生懸命に返済したそうですが、今回は借金の額がとても笑えるような金額ではなかったようで、別れを決意されました。
もともと子供が成人したら離婚しようという気持ちを持っていたようで、この事件は必然だったのかもしれません。
離婚に至るまでに家庭内別居のような状態で、もちろんセックスもなく7年ほど過ごされていたようですが、その間出会い系サイトなどで何人かの男性と知り合いになったとお聞きしました。
彼女としては心の拠り所になるようなパートナーを見つけたいと思っていたようですが、利用していた出会い系サイトが悪かったのか、出会う男性はどれも体目的でしかありませんでした。
僕も出会い系を利用していた時はそういった男性と同じだったと思います。
お子さんは成人しご主人の方が収入が安定しているということで、彼女はひとりで生活をスタートされました。
新しいパートナーを見つけることも大切ですが、それ以上に生活を維持出来る仕事を見つけることにかなりの神経を使われている様子でした。
現在も定職についていて、今の職場で3年になるそうですが、経営者の拝金主義に耐えられないということで転職を考えられています。
資本主義の世の中で経営者がお金を中心に物事を考えるのはある意味では正常なことなのかもしれません。
僕が性感マッサージではなく本業の会社を立ち上げた理由は、勤め先の経営者の考え方についていけないと感じたからです。
自分のいる業界がとくにそういった弱者から出来るだけお金をむしり取るといったイメージが強かったために余計に拒否反応が起きてしまったのかもしれません。
業界自体を変えてやるんだといきまいて創業してみたものの結局は存在自体もアピールすることなく業績不振で家にもお金を入れることができず離婚という結末になりました。
今から思えば結局のところ従業員が経営者になったというだけで、やっていること自体はなにも変わっていなかったのです。
仕事を請ける基準はお金になるかどうかでした。
お金になると思っていても無駄な経費ばかりがかさんでしまって、赤字になることの方が多かったような気がします。
一生懸命仕事をしたつもりになっていてもまったく充実感を得ることが出来ない状態を7年ほど過ごしました。
そんな中、どういうわけか性感マッサージという仕事と出会うことになりました。
それはたぶん自分がもがき苦しむ中で大切にしている部分だけは捨てなかったからだと確信しています。
彼女は自分の現在の状況とこれから先の不安などを話してくれましたが不思議と悲壮感はありませんでした。
彼女の友達に相談するとご主人はなにをやっても最終的にはうまいこと人生を乗り切る運命で彼女はいつも貧乏くじを引く運命なのだと言われたそうですが僕はそう思いません。
貧乏くじを引いたと思うのか自由な時間を手に入れたと思うのかは自分自身の考え方次第だからです。
彼女は、夜勤明けで一睡もせずに施術に来られたのですが、それが終わったらスポーツクラブに直行するというとてもエネルギッシュな女性でした。
50を前にした女性とは思えないほど鍛えられた体の持ち主です。
それでも自分の体のたるみを気にされていてダイエットやトレーニングに励もうとされています。
そういった前向きなエネルギーは、一緒にいるだけでこちらも元気になります。
せっかくの休みなのになにかをしていないと時間がもったいないという理由からいろんなことにチャレンジされているようです。
もしかするとそういった行動をとる背景には現実とゆっくり向き合うことに対する不安などがあるのかもしれません。
彼女の年齢で、たくさんの慰謝料ももらうことなく独りで家から出て行くということは、とても大変なことだと思います。
男である僕自身でも将来のことを考えてみると不安になってしまいます。
なので将来のことは考えずに今、この瞬間を楽しく過ごすことだけに集中しています。
不思議なことに本業から離れて自分がやっていて達成感や充実感を味わえる行動だけをしていくと売り上げにも繋がってきました。
現代では精神的に病んでしまう人がどんどん増えています。
たぶんこれまでの資本主義が頭打ちになっている証拠ではないかと思います。
タイトルの超資本主義とは、資本の定義をお金ではなく人間の心に変えたものです。
彼女のこれまでの人生をお聞きし、これからのことを想像しているとそんな時代に楽しく暮らしている姿を想像してしまいます。
その理由は、なんだかんだと不安を口に出されている彼女自身が光り輝いているからです。