ドラマのような出会いがもたらしたもの

今回の日記は小説風に書きます。

 

主人公は僕ではなく依頼されたH子さんです。H子さんは現在40代半ばでかなり年下のご主人がいます。彼のことをとても愛しているのですが、単身赴任で年に数回しか会うことが出来ない状況です。

 

今回依頼された理由は、そういった状況とは別にドラマのような彼女の過去にありました。

 

小説風に書くためにH子さんをナツミという名前にさせていただいています。
ナツミは日本画を鑑賞するのが好きだった。

 

休日は美術館めぐりをすることが入社したばかりの会社の業務のストレスから開放される手段のひとつだ。

 

大きな美術館の時間が止まったような空気の中を歩くのも好きだが、こじんまりとした美術館で同じ目的を持った人の温度を感じながら絵に向かう緊張感がナツミにとっては心地いい。

 

そんないつもと変わらない時間を過ごして美術館を出たところで、一人の紳士から声をかけられた。

 

「時間があるようでしたらお茶でもいかがですか」

 

ナツミの視線の先には、同じ絵を見ていた紳士の姿があった。ナツミとは30歳以上も離れているだろうと思われる風貌なのだが、品があって整った顔立ちが印象的でほんの一瞬しか同じ場所にいなかったのだが、ナツミの頭の中にはイメージが焼きついていた男性だ。出張で東京から来ていて時間があったので、美術館によったのだが、まだ時間に余裕があるため一緒に過ごしてくれないかということだった。

 

断る理由を探すことよりも彼の誘いにうれしさを感じエスコートされるままその日のうちに肉体関係にまで発展した。

 

その時からナツミとO氏の主従関係が出来ていたのかもしれない。

 

ナツミは処女ではなかったが、O氏との関係は大学を出たばかりの女の子にとってはあまりに衝撃的なことばかりであった。

 

O氏はナツミとセックスをしない。女性をもて遊ぶことで自らの脳を刺激し満足感を得ていたようだ。初めて体を合わせたときも一番感じる場所への愛撫は後回しにしじらすだけじらし、ナツミの肉体が反応していることを耳元でささやく。

 

「もうこんなに濡れているよ」

 

「ナツミは淫乱だね」

 

ナツミは、O氏との関係を繰り返すことでマゾの資質を持つことを発見した。

 

東京から月に1度会いにくるたびに違った内容をナツミに体験させる。O氏とつながりの深そうな女性とともに来て、O氏の目の前でふたりでやらされたこともあった。

 

また目隠しをされ手首も拘束されて体中を愛撫されたあと一番感じる部分を少し触れるだけで絶頂を向かえるかというタイミングでホテルを出ようと言われたこともあった。

 

ナツミの懇願する顔を見るのがO氏にとっては至福の時だったようだ。

 

ハードなSM以外のことはほとんど全て体験させられた。

 

3年ほどそういった関係が続いたのだが、別れは突然訪れた。

 

ナツミに恋人が出来たのだ。

 

もともと真面目な性格のナツミは、彼との関係を優先したいということでO氏に報告し、O氏もナツミの幸せを喜んで別れることとなった。

 

O氏はまた必ず僕に電話をかけることになるよと一言だけ残したが、ナツミは電話番号を書いたメモを捨てた。

 

それから7年が過ぎた。

 

ナツミは、勤務していた会社に新入社員として入ってきた男性と結婚した。7歳年下の彼の教育係としてついたのがきっかけだ。過ごす時間が多かったのだが、初めて会った瞬間に一目ぼれをしていた。

 

会社では立場上堅いイメージのナツミであったが、後輩の彼に対する思いがどんどんと募っていく自分の感情を抑えることができず、同僚たちに相談した。

 

恋愛などに関心が無いイメージを持つナツミからの相談だったということもあって、同僚たちはこぞってナツミと彼がうまくいくようにいろんなところでサポートしてくれた。

 

そしてまもなく結婚することとなった。

 

それから10数年が経った今でも一目ぼれした当時と同じかそれ以上に彼のことが大好きでいる。

 

彼は顔立ちもいいし背も高く、見るからに誠実そうな青年だ。学生のころから真面目だったようで、女性はナツミしか知らない。

 

セックスの時も自分のやり方が正しいかどうかを聞いてくることも愛おしく感じる要因となっている。

 

彼の方は結婚後、さらにスキルアップを目指して会社を辞めて新たな会社に就職した。現在単身赴任中で、ナツミも結婚してからも会社を辞めずに続けていたため、寂しさは仕事でおぎなうという生活を続けている。

 

子供はいない。

 

40代半ばを迎えるようになって、ふと自分の将来のことを考えてみると夫婦関係においてはなにも不満などないのだが、女性としての体についていろいろと考えるようになっていた。

 

特に20年前のO氏との関係で覚えた快楽(けらく)を思い出す日が増えてきた。

 

彼を裏切るような浮気などをすることなどまったく思わなかったが、一度体に浸み込んだ感覚を二度と味わうことなく死んでいくことに寂しさがこみ上げてきていた。

 

たまたま家に配られてきたデリヘルのチラシに女性マッサージ師による女性の為の性感マッサージを始めたという内容が記載されていた。

 

ナツミはO氏の電話番号のメモを捨てていたことに後悔していた。捨てていなければO氏の言ったとおりになっていたことだろう。

 

他に選択肢が見つからなかったため、チラシにあった番号へ電話しホテルでマッサージを受けることとなった。

 

担当した女性はナツミよりも20歳は若いだろうという感じで、男性しか相手にしたことがないようすで慣れない手つきで簡単にマッサージをし、最後は自分で満足して欲しいということでおもちゃを手渡された。

 

マッサージ中でも自分の悩みをナツミに打ち明けるなどで時間がオーバーしてしまい、延長料金も追加で支払わないといけないという結果に終わった。

 

支払ったお金と自分の行動に対してやるせない気持ちで過ごす一日となった。

 

それから数ヶ月が過ぎ、早めの夏休みを会社から貰うことができたのだが、彼と会える状況でなかったためもう一度女性用風俗を探してみることにした。

 

いくつかのホームページを見ていて最終的に決めたのは、ブログなどもしていて体験者の声も書かれていた性感マッサージだった。

 

朝の8時半に予約のメールを入れるとすぐに返事が返ってきて、希望している時間で予約がとれた。

 

待ち合わせ場所に現れたのはネクタイをしてバリバリの営業マンといった感じの男性だった。

 

「ネクタイしてるんですね」

 

とびっくりした様子でナツミが聞くと

 

「メールで服装などをお伝えしていませんでしたか?」

 

と笑いながら答えが返ってきた。

 

いくぶん緊張していたのだが、物腰のやわらかそうな男性を見て少し安心した。

 

男性の名前はMという。

 

ホテルに入るとドリンクを選択し、届くまでの間にMは予約された目的をさりげなく聞いてきた。

 

ナツミは現在の仕事内容や主人との関係などについて話した。主人が淡白であまり満足出来ていないことを告げたがO氏とのことを切り出す勇気がなかった。

 

ドリンクが届いてMが他の依頼者の方たちについてや更年期に入ったあとの女性の大変さなどについて勉強している話などを聞くうちにだんだんと心を開くようになって、性感マッサージをする際に少しいじめるような要素を加えて欲しいことを告げた。

 

Mはナツミの性癖について真面目に受け答えし、折角来たんだから楽しいでほしいと答えてくれた。

 

それからもいろいろと話をしていくうちにやっとO氏とのことを打ち明けることができた。

 

MはO氏のことを興味深く聞いていた。

 

O氏は、今で言う性感マッサージをさらに発展させたスキルを持った人だったようだ。

 

Mの性感マッサージは、前半は通常のマッサージから始まり、後半から微妙な刺激を全身に施して性感度を徐々に高めたあと敏感な箇所を集中的に刺激して絶頂へと導く。

 

途中でナツミが要望していた通り、Mは耳元で言葉をささやいた。

 

「もうすごく濡れてますよ・・」

 

実際ナツミの敏感な箇所は太ももまで流れるぐらいに反応していた。

 

セックスをすると痛みを感じることがあって不安に思っていたのだが、指で奥まで激しく責めるということはなく子宮全体を小刻みに揺らすような刺激を与えられ久しぶりの絶頂感を体験した。

 

「少し休憩しましょう」

 

Mはしばらくナツミが体を休めている間にお茶を入れていた。

 

体が落ち着いたところでガウンを羽織って入れてくれたお茶を飲んだ。

 

MはO氏のやり方についてさらに聞いてきた。

 

ナツミはとにかく緩急が激しいという印象が強いことを話した。

 

Mはこれで終了だと思っていたナツミの手をとってもう一度ベッドに誘った。

 

ガウンを着たまま横たわったナツミの横にMが来たかと思うと同時に性感マッサージのときのスローなやり方とは対照的にガウンの前をいきなりはだけられ敏感なところを直接刺激された。

 

ナツミは突然のことでどう対処したらいいのかわからなかったが、本来ある資質が呼び覚まされ体はさっき終わったばかりとは思えないほど反応していた。

 

ソファでの会話の時にO氏が絶頂を向かえた後にやめて欲しいといってもしつこく続けてくることがさらによかったなどといった話をしていたのだが、MもまたO氏と同じように執拗に責めてきて絶頂のさらに向こうを体験することとなった。

 

ナツミはその瞬間頭が真っ白になった。

 

10分ほどそのまま横になっていたが、Mも後ろから包み込むように体を合わせて優しくナツミの髪を撫でていた。

 

「すいません」

 

Mが突然ナツミの耳元でささやいた。

 

「・・・」

 

ナツミはどうして誤っているのか理解できなかった。

 

「ホントは終わりだったんですが、僕の勝手な判断でO氏との体験を思い出して欲しいと思ってチャレンジさせてもらいました」

 

ナツミは頭に言葉が入らない状況だったがあの時の美術館の匂いをふと感じた。
結婚する前の経験を抱えて夫婦生活を過ごしている人もいるかもしれません。

 

恋愛やセックスに限らず結婚する前の時期の体験は、その人の性格や性癖、味の嗜好や生活習慣などに大きな影響を持つことは間違いないはずです。

 

結婚後にお互いの価値観を相手に押し付けるのは無駄なような気がしてしまうのは僕だけなんでしょうか。

 

芸能人が離婚する際に価値観の相違が原因などといいますが、価値観が同じなんてそもそもあるのかなって思います。

 

今回依頼していただいたH子さんは、しっかり自分の仕事もこなされ、ご主人との関係も良好です。
とても大切にしたいと仰っていましたし、大好きだとも言われています。

 

ご主人の知らない世界のことを知らないところで満たす気持ちは、浮気とか不倫とか不貞とかの範疇ではないと思います。

 

女性は更年期を境にセックスが出来なくなっていくそうです。性交痛を抱えながらも男性に応えようと我慢しながらされている人もいらっしゃるみたいです。女性としての機能を果たすために女性ホルモンを投与する場合もあるのですが、それが子宮がんを誘発する可能性があるということで、子宮を摘出されるかたもいます。

 

女性としての意識を目覚めさせることや維持することの方法としての性感マッサージの存在も認知されて欲しいなと思います。

 

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