脳のなかの幽霊V・S・ラマチャンドランサンドラ・ブレイクスリー著
人間の脳は宇宙でいちばん複雑に組織された物体であるという表現は、すでに決まり文句になっているが、実際にもっともな表現でもある。
脳をちょっと切り取って、そう、たとえば大脳皮質と呼ばれる入り組んだ外側の層を少し切り取って、顕微鏡でのぞいてみたら、ニューロン(神経細胞)というもので構成されているのが見えるだろう。
ニューロンは神経系の基本的な機能単位で、情報がやりとりされるところだ。
生まれたての赤ちゃんの脳には、ふつう1000億個を超えるニューロンがあり、年齢があがるにつれてしだいに数が減る。
<中略>それぞれのニューロンは他のニューロンと、およそ1000個から1万個のシナプスを形成している。
シナプスにはオンとオフ、すなわち興奮性のものと抑制性のものがある。
つまりあるシナプスが物事を刺激する信号を出す一方で。別のシナプスがそれを鎮める信号を出し、驚異的に複雑な出入りが進行する。
砂粒くらいの大きさの脳の断片に、10万個のニューロンと200万本の軸策と100億個のシナプスがあり、それらがたがいに「会話」をしている。
これらの数字をもとに計算すると、全宇宙の素粒子の数を超える。
これほど複雑な脳の機能を、いったいどこから理解しはじめればいいのだろうか。
========================幻肢という言葉をご存知でしょうか。
windows の日本語変換でもないぐらいなので、たぶん馴染みのない言葉だと思います。
幻肢というのは、すでになくなっている腕や足などを脳が覚えている状態のことで、正常のまま機能していると認識しているときは、それほど問題もないのですが、その手や足に病的な症状がおきて、麻痺などがおこり、痛みや変形などが生じることがあるそうです。
実際にあるものの治療も完璧でない医学で、ないものに対しての治療は到底不可能なのものとなります。
医者は、破れかぶれの方法で、残った手足の断片をさらに切り刻んだり、脊髄の痛覚路や感覚路を遮断したり、脳の痛みの中枢を破壊したりしますが、効果はありません。
この本の著者、ラマチャンドラン博士は、それまでと違うアプローチを導入して多くの患者を救ってきた実績のある人です。
その新しいアプローチというのは、「バーチャルリアリティ」装置と呼ばれる鏡を利用した単純な箱を利用します。
正常なほうの手や足を鏡を使って幻肢の位置に置いてみせることで効果がでるということを発見したのです。
患者は幻肢が正常な状態だということを認識することで麻痺や変形から解放され、幻肢そのものがなくなっていくそうです。
この本を見つけるきっかけになったのは、先日紹介した「ブラインド・サイト」について調べたことが原因です。
ブラインド・サイトとは盲目の人であっても視覚情報以外の情報をなんらかの形で把握しているということを指すようで、もしかすると人間は五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)以外からの情報を受けることの方が多いのかもしれません。
なんとなく気が合うとか生理的に受け付けないというのも、まだ説明されていない感覚が反応していると考えてもおかしくないのではないでしょうか。
第六感などという言葉がありますが、シナプスの数を考えると第百感ぐらいあっても不思議ではありません。
幻肢は聞きなれませんが、幻覚や幻聴などはよく聞きます。
僕は、これまでに一度だけ幻覚を見たことがあります。
20年ほど前のことになりますが、今でもはっきり覚えています。
精神病院に入院したことは、このブログで何度も書いていますが、その前日に警察に保護されました。
朝から暴れていて警察に通報があり、パトカーが来てなだめすかされながら警察署の一室に招待されたのです。
とくに人に危害を及ぼしたということでもないので、留置場に放り込むわけにもいかず、とりあえず家族が迎えに来るまでの間、監禁しなければならないという職務を3人の警察官が負うこととなりました。
その時の僕は、警察署にいるということは理解できても気がふれたただの人だとは思っていないので、家族が迎えに来るまでの数時間(もしかすると10時間ぐらいかも)を3人の警察官に対して講演するためにはりきっていました。
キリストや釈迦が人々に話しかけているのと同じ状況だと思いながら・・。
僕の場合は、かなり具体的に自分が救世主になったという実感があり、マンガのドラゴンボールの主人公、孫悟空は自分のことを書いていると思っていたのです。
その辺のことを理解してもらえるように説明するのは、またの機会にして、そのときに同席されていた3人の警察官の顔が、話がエスカレートしていくとともに「ギニュー特戦隊」のうちの3人に変化しました。
ドラゴンボールを知らないかたは、調べてみて下さい。
あまりの変化に僕自身が恐ろしくなってそのうちの一人の頬を殴った記憶があります。
今から考えてみるととても我慢強いおまわりさん達だったと思います。
僕が今回この話を書いたのは、脳の指令によってそれが現実のものとなるということを理解して欲しかったからです。
他人からみておかしなことであってもその人の中では、それが現実だということなんです。
脳のなかの幽霊では、脳の働きについて事例なども交えてわかりやすく書かれているのですが、そういった事例の紹介以上に、物事に対して疑ってみることの大切さを訴えています。
疑ってそれを実証するためには、高価な機材などは必要なく、とにかく自分の目と深い探究心と勇気があればこれまでの学説を180度転換することも可能となるのです。
そういった姿勢を随所に感じることができ、それでいて驚くような内容がたくさん紹介されている本なので、脳の働きなどに関心のある人なら、読んでおいて損はないと思います。